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ディオバン事件に続き〝黒い交際〟発覚

京都府立医大の深い闇

 旧帝大に次ぐ伝統を誇る公立医大、京都府立医科大が〝黒い交際〟に揺れている。

 京都府警は2月、暴力団幹部の偽の診断書を提出したとして府立医大を家宅捜索するなど強制捜査に着手。3月には虚偽診断書作成・同行使容疑で関連病院「康生会武田病院」の医師、全栄和容疑者(61歳)らを逮捕した。大病院では紹介状や口利きは日常的だが、虚偽の診断書を作成するのは言語道断だ。暴力団と病院の「ズブズブの関係」(捜査関係者)はどうやって築かれたのか。

 事件を担当する記者が解説する。「逮捕容疑は2014年7月に京都府立医大病院(同市)で腎移植手術を受けた指定暴力団山口組淡海一家総長の高山義友希受刑者(60歳)が収監に耐えられないとする虚偽の診断書を大阪高検に提出したというものです。しかし、高山総長は関係者と飲食を繰り返すなど、どうみても元気。府警は、全容疑者らが高山総長側から現金や商品券などを受け取り、見返りに虚偽診断書を提出したのではないかと疑いを抱いたというわけです」。

 武田病院グループは京大医学部卒の武田隆男会長が作ったが、府立医大病院から医師の派遣を受けるなど、府立医大と繋がりが強い。移植手術こそ府大病院で受けたが、高山総長は武田病院の患者で、以前から不整脈の治療を受けていたという。

 もちろん、患者が反社会的勢力であっても医師は診療を拒否することは出来ない。一方の暴力団側は医師を抱き込みたい。都内の大学病院関係者は「暴力団関係者は個室に入院してくれるので、芸能人や政治家と同じく、経営が厳しい病院にとってはいいお客様だ」と話す。

 だとしても、府立医大、武田病院と暴力団との関係はあまりにも度が過ぎている。地元の医療関係者は、武田病院グループは以前から「暴力団御用達の病院」として知られた存在だったと明かす。高山総長の父で指定暴力団会津小鉄会の高山登久太郎元会長(故人)もまた武田病院の患者だったという。

 暗躍していたとみられるのが、全容疑者とともに逮捕された同病院元医事部長の大西義彦容疑者(45歳)だ。「大西容疑者はグループの系列病院に長年勤務していて、山口組ナンバー2の若頭、高山清司受刑者(69歳)が入院した時も対応したといわれている。暴力団との繋がりを隠すどころか、周囲に吹聴することもあった」(地元記者)。

 こうした濃密な人間関係の裏側には、「京都」という土地の特性があると地元記者は語る。「京都は閉鎖的な土地柄。地元の名士の社交界としてのお茶屋遊びは、一見さんはおろか地元出身者であっても容易に入れない。医学界の重鎮や暴力団といった、地域で力を持つ人達はこうした表だけでない繋がりを持っているのです」

 「辞めない」とさんざんごねた挙げ句、3月末で府立医大学長を退任した吉川敏一氏もこうした〝名士〟の1人だろう。同大出身の他大医学部教授は「学会で会った時、吉川先生は芸能人の人脈をさらりと自慢していた。人は良いのだがミーハーな性格だから、暴力団にいいように利用されたのではないか」と慮る。

 府立医大はディオバン事件でも研究不正の現場となり、吉川前学長は訓告処分を受けている。「ディオバン事件に続き、今度は虚偽診断書作成事件で世間を騒がせた。同大出身の厚生労働省医系技官は、母校に問い合わせるなどして情報を集めているが、肩身が狭そうだ」(同省関係者)という。

 ボロボロの府立医大だが、捜査はまだ続く。闇社会の実像にどこまで迫れるか、府警の手腕が問われている。

エスアールエルの白血病検査に「不備」
前代未聞の規模のミスになるか

 白血病の献体検査で5割以上のシェアを誇る業界大手の臨床検査会社エスアールエル(東京都)で、「検査結果の数値が異なっている」という致命的な誤りが発覚した。3月中旬、医療機関から委託された白血病の遺伝子検査の結果に誤りがあったと社長自らが厚生労働省の記者会見場で公表したのである。

 「妙な会見でした。何を聞いても、『まだ分からない』『明らかに出来る段階ではない』との答えばかりで、何しに来たのか分からなかった」(厚労省担当記者)。

 会見での説明によると、不備が発覚したのは同社が2002年から行っていた患者の骨髄液から遺伝子を調べて白血病の類型を調べる検査と、遺伝子の量を測定して治療効果を確かめる検査の2種。これまで10万件以上行われたという。検査数値を元に慢性骨髄性白血病に使われるグリベックなどの薬の効果を確かめるものだというが、検査の基準とする物質の製造過程に不具合があったために、誤った数値が出続けていた可能性がある。

 問題なのは、不備が発覚したきっかけが顧客である医療機関からの指摘であるという点だ。昨年10月、ある医療機関から「院内で行った検査結果と数字の差が大きい」と指摘されて、調査を開始したという。

 しかし通常の医療機関は、院内検査の手間がかかるからこそ検査会社に委託する。しかも、同じ検査会社を使い続けることが多いため、他の検査会社と比べることもない。奇跡的に発覚した不備だったのだ。

 気になる影響だが、同社は「数値が違っていても、変化が追えていれば正しい治療を行える。専門の医師に相談しながら詳しく影響を調べている」とのこと。前代未聞の規模の検査ミスとなるのか、調査は長引く可能性もある。

内部通報を矮小化する
厚労省とバイエル薬品

 「テレビで社員が自ら手を染めた不正や過剰接待の内容を堂々と話しているのには驚きました」と大手製薬企業の社員が感心するのは、バイエル薬品(大阪市)で発覚した研究不正だ。

 同社は2012年、血栓症治療薬「イグザレルト」の発売にあたり、宮崎県の診療所の医師に依頼して、患者約200人に他社の血栓症治療薬の飲み方などについてアンケートを実施。その後、社員3人が患者の同意を得ずにそのカルテを閲覧し、既往症などのデータを書き写した。「このうちの1人が昨年、厚生労働省に通報したが、厚労省は事実上、放置。TBSが今年4月、スクープとして社員のインタビュー映像を流して問題が公になった」(厚労省担当記者)。TBSと歩調を合わせるように、川田龍平参院議員が翌日の国会でこの問題を取り上げ、厚労省はついに「個人情報保護法などに違反する可能性がある」との見解を示したのだ。

 だが、内情はお寒いものだと記者は言う。「製薬企業や医薬品を監督する医薬・生活衛生局が調査主体になると思われたが、誇大広告など医薬品医療機器法(旧薬事法)に違反するかは微妙。アンケート調査の考察は学会誌『プログレス・イン・メディシン』に掲載されたが、問題が社内で明らかになり昨年1月に取り下げられた。ディオバン事件が誇大広告に当たらないと裁判所に判断されたばかりの同局は調査に及び腰だ」。

 可決したばかりの臨床研究法を所管する医政局研究開発振興課は「アンケート調査は臨床研究でないため、所管ではない」と、これまた腰砕けの対応。個人情報保護法や指針違反に当たる可能性が高いとして医政局でたらい回しにされているという。

 「似たような事例はいくらでもある。厚労省としてはパンドラの箱を開けたくないのが本音だろう」と担当記者。これでは未来永劫、研究不正がなくなるはずがない。

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