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D e N A

D e N A
医療・健康情報サイトはパクリ記事のオンパレード
トが編み悪徳

 今やDeNAは最も悪名の高い会社と言える。同社はスマートフォン向けウェブサイトの会社だが、運営する医療・健康情報キュレーション(まとめ)メディア「WELQ」でパクリ記事や不正確な記事を流し続けていた。普通、医療系サイトを見るのは患者を抱えている家族や健康に関心を持つ人達である。そういう人達にいい加減な記事を流した罪は重い。

 しかも、検索エンジンのグーグルに上位に掲載されるように細工をして閲覧回数を増やす手口で、広告費を集めていた。全てが「カネ、カネ、カネ」の問題会社なのである。

 DeNAが依頼した第三者委員会が3月下旬、WELQはじめ同社運営の10サイトの調査結果を発表した。報告書では記事2万件、画像では約75万件に複製権侵害の疑いがあり、医薬品医療機器法違反の疑いのある記事も10件あった他、健康増進法侵害の可能性がある記事もあった。

 さらに、倫理的に問題のある記事や他人の記事を複製して掲載している記事、出典や引用方法に不適切な記事もあった、と指摘している。

 なにしろ、WELQの医療・健康情報記事にはかねてから、無断転用だ、パクリだという批判が絶えなかったが、実態はほとんどが意図的にパクッた記事のオンパレードだったのである。

 パクリ記事ばかりではない。例えば、「妊活」などという言葉があり、科学的エビデンスが確立していないにもかかわらず、「不妊を改善する効果がある」とサプリメントの成分を取り上げたり、水素水に「筋肉疲労を防ぐ効果もある」と水素水ブームを煽ったりしている。中には「肩こりは霊が原因のことも?」などというタイトルの記事もあるのだから笑ってしまう。これがDeNAの医療情報メディア、WELQの中身なのである。

以前も相次いで社会問題を引き起こす

  第三者委員会はDeNAがこうした不正行為を行っていた背景として、キュレーション事業に参入する段階で分析や議論が尽くされていなかったこと、キュレーション事業運営で内部のコミュニケーション不足だったこと、慎重な意思決定やリスク分析が出来ていなかったこと──などを挙げている。

 報告書を読む限りほとんどの記事がパクリで、画像はコピペで、法令違反すれすれのいい加減なものだったといえる。

 同社はキュレーションサイトが問題になった昨年末にWELQを閉鎖したが、報告書の公表と同時に謝罪会見を開き、代表取締役を外れていた創業者の南場智子氏が代表に復帰し、守安功代表取締役CEOは6カ月間報酬50%削減、さらにWELQ創設の主役とされる村田マリ、中川綾太郎両氏がそれぞれのキュレーションサイトの代表取締役を辞任、幹部25人を処分したと発表した。これで一件落着としてしまいたいようだ。

 DeNAは南場智子氏が1999年に設立した会社で「ビッダーズ」というサイト名でネットオークションを始めた会社である。直に情報サイトに進み、さらにゲームに進出する。ゲームは後発組だったが、2006年にいち早く、スマートフォン向けのソーシャルゲームに転換したことで急成長。東京証券取引所に上場を果たしただけでなく、11年にプロ野球の横浜ベイスターズをTBSから買収したことで一躍有名になった。

 DeNAのプロ野球参入を認めるかどうかが各球団のオーナー会議で話し合われた時、アルファベットの社名の問題とともに、ゲームの会社が参入してよいのかどうかも問題になった。結局、楽天東北イーグルスのオーナー、三木谷浩史氏が反対しただけで、参入が認められた。同社以外に横浜ベイスターズを買収する企業が無かったことが承認の主な理由だが、ネットビジネスである楽天の三木谷氏だけがDeNAのいかがわしさを感じていたのかもしれない。

 実際、DeNAの利益は、後に社会的問題になった「コンプリートガチャ」で稼ぎ出していた。無料を謳いながら、ゲーム中に希少アイテムを獲得するために課金させることで遊ばせるというゲームで、小中学生に数十万円もの金額を課金させるゲームだ。この課金ゲームは12年5月に社会問題に発展し、DeNAはライバルのグリーとともにコンプリートガチャを終了すると発表した。

 10年には、スマホでのソーシャルゲームを独占するためにゲーム制作会社に対してライバルのグリーにゲームソフトを提供しないように圧力を掛けたことが発覚し、公正取引委員会から排除措置命令を受けたこともある。

 どう見ても、社会問題を引き起こしてばかりいるような企業なのである。子供相手に射幸心を煽って利益を上げる事業で大きくなった企業だけに、問題になったら別の方法を取ればよいくらいの発想しか持ち合わせないのかもしれない。

 当然のことだが、ゲームは大当たりをとっても、勢いが長続きするとは限らない。飽きられるし、新しいゲームが出現すれば人気が移る。そのDeNAが陰りが出たゲームに代わる事業の柱にしようとしたのがキュレーションメディアであり、力を入れたのが医療・健康情報のWELQだった。

幹部はMBAを取得した秀才揃い

 もっとも、最初はまともなことを考えていたらしい。夫の看病のために代表取締役を退任した創業者の南場智子氏が、看病中に気付いた医療・健康情報を提案したのが始まりだという。

 早速、2014年に医療情報サイト「Medエッジ」を開設した。Medエッジは「「医療と健康に関する情報を分かりやすく伝えるヘルスケア特化型ニュースサイト」を謳った、真面目なものだったが、閲覧する人が極端に少なく、わずか1年ほどで閉鎖した。

 だが、Medエッジは失敗したものの、DeNAの幹部達はネット上で情報を配信するキュレーションメディアこそゲームに代わり金儲けの手段になると考え付いたようだ。

 女性向けファッション情報サイト「MERY」を運営するペロリ社とインテリア情報サイトのiemo社を50億円で買収。さらに、買収したiemoの創業社長の村田マリ氏を旗振り役に抜擢し、Medエッジの復活版である医療情報サイトを再開する。

 しかし、Medエッジに多少なりともあった良心の欠片はない。実は、DeNAの幹部には旧帝大系の国立大学出身者とアメリカでMBAを取得した秀才が多い。彼らがウォール街の投資家と同様に、どうやったら医療情報メディアを儲かる仕組みに出来るか、智恵を出し合ったといわれている。こうして誕生したのがWELQである。

 ちなみに、情報サイトには、投稿者の情報を掲載するだけの掲示板のような役割を果たすプラットフォームと、サイト自身が情報記事を発信するメディアとがある。プラットフォームなら、ただ掲示板を提供しているだけなので、偽情報が流れても、当事者からのクレームに対して情報を消去すれば良い。プロバイダ責任制限法でそれ以上の責任は問われない。もちろん、消去されても、一度流れた情報は拡散するから止めようがなく、それはそれで問題だ。

 一方、キュレーションメディアは内部で原稿を書き、閲覧者に情報を提供する。サイト自身に責任があり、その分、信頼が置けると受け取られる。WELQの悪質さは投稿情報の体裁を取りながら、実態はメディアとして行動し、大量の不明朗な情報を流したことだ。

 むろん、利益至上主義だから情報の中身の正確さなどはどうでも良い。そのための書き手として集めたのが、ネット上に溢れる素人記者だ。彼らに安い報酬で他所の記事をパクらせ、図柄をコピペして記事に仕立てる。

 最初から記事の重要性など考えていない。ビジネス上、大量の記事件数と目を引くような話が揃いさえすれば良いのである。守安社長と主導役で子会社の村田マリ社長たちに必要なのは、WELQをクリックするヒット回数だけだった。

 そのために細工したのが、閲覧数を多くする手法だ。ネット上ではほとんどの画面に広告が載っている。誰も広告なぞクリックしないのだが、サイトを閲覧する人が多ければ多いほどサイトに広告収入が入る仕組みになっている。

 DeNAがもう一つ悪質なのは、閲覧者を増やし広告収入を多くするために、SEO(検索エンジン最適化)と呼ぶ技術を駆使していたことだ。検索エンジンで8割のシェアを握っているグーグルが採用している、検索順位を情報量の多さで決める情報処理手順のアルゴリズムを逆手にとって、SEO技術でWELQの記事を検索順位の上位に来るようにさせたのである。

 この操作で必然的にWELQの記事はヒット数が多くなり、同社に広告収入が多く入る仕組みだ。頭のいいMBA取得者たちのやりそうな手法だ。医療・健康情報は患者家族や健康に気遣う人達が多く見るだけに、DeNAのビジネスは悪徳商法そのものだといえる。

 だが、DeNAの医療・健康関連ビジネスはこれだけではない。14年8月、同社は一般消費者向け遺伝子検査サービス「MYCODE」を始めている。遺伝子検査でがんになる確率、糖尿病になる確率を出すというサービスで、一時期はネット上でも話題を呼んだ。 

遺伝子検査ビジネスも批判を受ける

 ところが、意に反して「遺伝子検査で分かる病気になる確率は、まだ科学的エビデンスが確立されていないのではないか」「狙いは得られたビッグデータを売るビジネスではないのか」と批判されてしまった。

 しかし、DeNAはこうした批判を受け入れそうもない。子供に多額の金を使わせるコンプリートガチャビジネスを筆頭に、遺伝子検査サービスという名目のビッグデータ・ビジネスといい、医療・健康情報キュレーション・ビジネスといい、全てカネ儲けを追及してきた体質だ。

 WELQ問題では「幹部を処分した」というが、中心人物は辞任であって解任ではない。人事部に配属されているという。ほとぼりが冷めたら再び別のあこぎなビジネスを起こすだろうという疑いは消えない。

 公益のためには存在して欲しくない企業といっても過言ではないだろう。

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