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第103回 医学に栄養学・心理学を結び付け、「未病」を治す

第103回 医学に栄養学・心理学を結び付け、「未病」を治す

登坂正子(とさか・まさこ山口県下関市出身。東京女子医科大学卒業後、同大附属日本心臓血圧研究所に勤務。1984年、山口県周南市で開業していた義父から医療法人登坂医院を引き継ぐ。2005年医療法人淳信会と改名、理事長就任。同時に登坂医院をまさこメディカルクリニックに改名、院長に。14年、医師が自身や家族がかかりたい医師として推薦する「Best Doctors in Japan」に選ばれる。著書に『超食事革命』など。


生活習慣病という言葉ができる以前から、栄養と心身のバランスによる健康づくりを長年研究してきた登坂正子氏。理事長を務める医療法人淳信会は山口県に本拠を置くが、研究成果の実現のため、セルフメディケアグッズショップが隣接した未病対応専門クリニックを都内に開院した。今後、「未病を治す」をテーマにどのような展開を考えているのか、話を伺った。

◆東京都中野区に2016年12月、「ホリスティキュア メディカルクリニック」を開院しましたね。

登坂 はい。「ホリスティキュア」とは、全体を意味する「ホリスティック」という単語に治療を意味する「キュア」を組み合わせた造語です。病気の予防や進展予防を目的に「心も体も全体を診ます」という願いを込めました。具体的には最新の栄養学に基づいた食生活に関する指導や、心理学的アプローチも行っています。また、既に病気を抱えていても、うまく病気と共存出来ればOKだと考えます。毎日、楽しく元気で暮らすための栄養面でのセルフケアがその手助けになります。

米国発のホリスティック栄養学を学ぶ

専門は循環器ですが、この分野に至った経緯は?

登坂 東京女子医大を卒業後、同大附属日本心臓血圧研究所に11年間在籍しましたが、義父の医院を継ぐことになり、35歳で山口県周南市に行くことになりました。義父の医院は耳鼻科で、私は循環器を診ていました。最初の検査機器は心電図だけでしたが、私は問診を武器にしていました。研究所で指導をして下さった故広沢弘七郎教授が「問診で95%の診断を付けなさい」と言っていたことを肝に銘じ、問診の中でいかに正確に判断するかという技術を磨いていきました。研究所では重症患者さんしか診ませんでしたが、医院では様々な症状の方々が訪れます。最初に診たのはサプリメント被害の患者さんでした。健康になろうと思って摂取したサプリメントで病気になるということはあってはなりません。医学と栄養学をつながないと、このようなことが起きるという現実を突き付けられ、医師も栄養学をもっと学ばなければいけないと思いました。医師は医学部では栄養学をほとんど学んでいません。栄養の乱れが生活習慣病になることや、ミネラルのアンバランスでいろいろな症状が出ることも分かっています。医学に十分反映されていなかったのは問題だと思い、栄養学や心理学も取り入れた治療法の勉強を始めたのがきっかけです。現在の医療は症状が悪化してからの対症療法であるため、根本的な解決にはならない上、高価な薬剤の処方や薬剤による副作用につながっています。生活習慣病の予備軍といわれる層を未病患者とした場合、その数は糖尿病だけでも1100万人いるとされています。未病や生活習慣病患者を食事など栄養療法で改善することで、国家レベルの医療費削減にもつながります。

「ホリスティック栄養学」も学んだのですね。

登坂 診療を続けながら分子栄養学の勉強をしている最中にホリスティック栄養学に出会ったのです。これは米国で発祥したもので、基礎栄養学、消化吸収などの解剖生理学、栄養素獲得における精神状態の影響を知る心身相関学の三つを包括的に捉える栄養学です。同じ栄養を摂っても人それぞれに栄養素の獲得が異なることを理解して、最も適切な栄養療法を選択する学問です。それを米国コロラド州認定栄養学校で学び、栄養コンサルタントの資格を取得しました。病気だけでなく全体として人を診ることで病気の治癒率が高くなるという考え方は私が以前から持っていたものと一致します。ホリスティキュア メディカルクリニック院長の尾都野信子は私の娘ですが、同じ資格を取っています。

クリニックではどのような医療が受けられるのですか。

登坂 「ホリスティキュアメソッド」を基に診療しています。これは、最新の栄養学と医学をつなぎ合わせることで、未病レベルから疾患レベルまで、全ての患者において健康寿命の延伸を目指すもの。具体的には、未病の段階で見つける人間ドックが主体です。「ミネラルバランス」「有害金属の蓄積」「体内の糖化」「身体の錆付き状態」など栄養素のバランスの崩れを専用機器でチェックするとともに、免疫力の検査、がんの早期発見のための新しい検査や栄養学的な血液検査など50項目以上の検査を用意しています。検査結果を基に人それぞれで異なる体質や栄養素の吸収状態、ストレス耐性などを総合的に判断して未病ケアの指導をします。身体の状態を数値やデータで可視化して、詳細なコメントを文書としてお渡しします。その方の問題点を分析し、その方の生きていく上で必須といえる“工場”の働き(消化・吸収・代謝)をメンテナンスし、その方にとって可能な生産性を上げる対策のアドバイスをすることで、未病対策をし、医学的に原因のはっきりしない「不定愁訴」の改善、仕事のパフォーマンスアップや病気があっても共存出来る心と身体作りを目指します。自由診療なので診療費は「未病対策人間ドックコース」(15万円〜)が基本となりますが、個別の検査・診察では5000円から利用して頂くことも出来ます。

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