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川口さくら病院(埼玉県川口市)

川口さくら病院(埼玉県川口市)
連携で認知
162 川口さくら病院(埼玉県川口市)

玉県は高齢化が日本一のペースで進んでおり、県内でさいたま市に次ぐ人口を擁する川口市も、高齢化に伴い認知症患者が年々増加している。医療法人社団桐和会(東京・江戸川区)は2006年に、認知症に特化した医療と介護を提供する川口さくら病院を開院した。

 当初は身体合併症期前後の患者が中心だったが、現在は、高齢化が急激に進む中、認知症初期の患者から周辺症状が起きて在宅ケアが困難になった患者まで、全病期の診療に当たっている。10年には新病棟・認知症治療病棟(120床)を増設し、患者がさらに利用しやすい環境を整えた。

 前院長で、現在は同グループの東京さくら病院副院長を務める波多野良二医師は「ここ10年、認知症の治療に劇的な進歩は無いが、スタッフは患者の生活の質を維持・向上させると共に、患者家族の支援を積極的に行うことを心掛けている」と話す。認知症は長年の介護が必要になるため、家族の不安は大きい。「経済的に無理をしないよう、また頑張り過ぎて家族が倒れてしまわないよう具体的な提案も行う」。病院でのケアが良いため、長く身体の健康を維持する患者も多い。

 同グループは病院や診療所だけでなく、老人保健施設やグループホームなども運営、グループ内で地域の医療・介護・社会福祉を支える体制を目指しており、川口さくら病院の近くにも特別養護老人ホーム「川口さくらの杜」がある。波多野副院長は「認知症患者は精神症状がピークを超えるとADL(日常生活活動)が低下し、寝たきり状態の傾向になる。医療から介護の部分が多くなるので介護施設との連携は強み」と言う。

 もちろん、認知症はグループ内の施設だけで全て対応できるわけではない。同病院は地域連携と在宅医療にも力を入れている。

 地元の開業医との連携にとどまらず、社会問題化している認知症患者の徘徊保護や高齢運転手の自動車事故防止、患者家族の悩みなどに積極的に対応しようと、県や市、警察とも連携を密に取っている。そのため、地域住民からは「川口さくら病院に相談すれば、何とかしてくれる」と頼られているという。

 今後とも、「地域のハブ」的な機能を果たしながら、医療・介護のフルラインナップで認知症患者とその家族を支えていく方針だ。


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