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第103回 群れない

第103回 群れない

 先日、とある市の芸術ホール完成の式典に招かれた。

 満員の会場で冒頭、地元選出の国会議員がご来賓として挨拶した。

 前の晩はよく眠れたのか、はっきりとした口調で開口一番、

「3年ほど前ですか、市の担当者が私の大臣室に来られて国からの補助が10億円しか出ないと言うので、私がいろいろと手を尽くして40億円にしました。そしてこのホールは出来上がったのです」云々。

 頭に来た。40億円は血税だ。こいつの懐から出たお金じゃない!

 今時こんなアホな政治家がこの世に存在するのか。ベタなドラマの撮影か、どっきりカメラかと、一瞬目の前で起こっていることが現実のものとは思えなかった。

 元大臣閣下は自らの挨拶を「古典的」と称して締めくくったが、本当にそういう「合法的口利き」の話があったとしても、“タイガーマスクする”のが「古典的政治家」というものだ。住民に「俺が金を引っ張ってやったんだぞ」とこんな場所で明言して、しっかりと恩を着せる人間性の矮小さには呆れ果てた。

 市民がこれを屈辱と思わないのなら、その風度が問われる。

 政治家は皆、こんなふうにダンテの『神曲』地獄篇の最下層を形成するようなゲスばかりなのだろうか。

 もしそうなら、近い将来、この国の選挙でもとんでもないことが起こるかも知れない。泡沫候補が続々当選する、という事態だ。野党も与党もひっくるめて、今までのセコイ政治家に国民が本格的に失望した、という事態だ。

 どこかの国の大統領選挙では、大きくトレンドが変わった。彼国の流行に敏感なこの国なのだから、同じ事が起こっても不思議はない。

 お金持ちの、お金持ちによる、お金持ちのためのメディアにはもう騙されない。

 彼らの思い通りに作り上げられた偽の「世論」や支持率、得票数を信じ込まされ、大衆は騙されっぱなし。

 醜怪なおっさんどもと、それにかしずく、行儀よくメガネをかけた、学歴の高そうな狡賢いエリートたちの思う壺に操られているだけの国民—。

 権力者は1600万円分の領収書を1人で手書きして有印私文書偽造の罪を犯しても、一切お咎めなし! 

 利権に群がり、庶民から搾り取った税金を思うように動かし、それでいて、 「この事業は俺がやってやったんだ!」と自慢話を吹聴して回る愚かしさ。

 彼らのやっていることは四六時中、自分たちの利益誘導ばかりじゃないか! そこら辺にいるドジでおっちょこちょいの親父だけど、孤軍奮闘、正直で熱意のある奴こそが信用できるぞ! そういうトレンドが顕著になるかも知れない。

 孤軍奮闘、つまり「群れない」は今後の人物評価のキーワードだ。

 誰もが長いものに巻かれているこの社会。政治評論家や政界のドンは苦々しく「素人に何ができる」と負け惜しみをぶちまけるだろう。「お前らだって何もできねぇじゃねぇか」

 それにこの国は、一応民主主義だ。皆で作る社会だ。「学級会」の政治の方が狡賢い役人やごろつき政治家よりはるかにまし、とそろそろ皆が考えるのではないか。

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