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みらいアセット役員が病院長の解雇を「偽装」

医療界を食い物にし肥える証券会社
 経営難に陥る医療機関の増加に伴い、そのような施設をターゲットとするM&Aも加速度的に増加している。水面下で進案件では、いち早く情報を制したものが有利なのはいずれの業界も同様である。しかし、中には獲物を手に入れるために手段を選ばず、偽りの情報をながすようなやからもいる。
 「みらいアセットマネジメント(以下「みらいAM」)」の増村章仁常務は、医療機関のM&Aに力を入れて医療界を歩き回っている。このようなビジネスでは秘守義務が伴い、情報の内容によってはターゲットの生死を分かつ場合もある。しかし、増村常務はこの業界のプロフェッショナルであるにもかかわらず、平然と道を踏み外した。

根拠もなく「院長解雇」を主張
 事の発端は今年の6月25日にさかのぼる。ある案件のために増村常務が弊社を訪れていた。席上、心臓外科の話題になり、東京近郊で手術を数多く手がけるP院長の話となった。その際、増村常務は次の様に言い放った。

「Q病院のP先生は今年の3月で院長職を解雇されています」
 同席したすべての者が驚愕した。P院長とは旧知の仲。医療界でも名の通った人物の一人である。まさに解雇は晴天の霹靂だった。増村常務に理由を尋ねると「業者からのリベートをP先生本人のメディカルサービス(MS)法人に入れ、利益を取っていたのが発覚したためです」。
 その後、増村常務はリベートを渡したという医療器機メーカーの名前も具体的に口にしている。心臓のペースメーカー機器を扱う大手だ。会長は銀行出身。医療機関から暴利を絵居ていると批判を浴びている。事実だとすれば、聞き捨ててはおけない。すぐさま、病院のホームページを確認したところ、P院長の名前がある。病院に電話で院長の名前を尋ねてみたが、やはり答えはP院長だった。
 翌日の午後、増村常務に電話で再度、解雇の事実について確認をとった。電話の先で増村常務は「ホームページに出ていたとしても既に解雇されています。P先生の解雇を決定したのは、その医療法人のR副理事長です」
 新事実である。理由について再度尋ねると、「先生が自身のMS法人を通じて業者からリベートを受け取っていたのが発覚したため」と前日の回答を繰り返した。企業名も変わっていない。MS法人の名称を聞くと「名前まで分からない」という。

 増村常務によると、この情報ソースは理事長だと言うと「お引き合わせすることはできると思います。ただ、理事長が話してくれるかどうかは分かりません」

 確信に満ちた話しぶりだった。

 増村常務への確認を終えた後の月曜にあたる28日、P院長のオフィスの直通番号にコールした。診療の合間に対応したP院長は、怒りをもってこう答えた。「解雇はまったくの嘘。現に政府委員という公職にも就き、病院のホームページでも院長という肩書きをアップしている。そんなことを言われる覚えはまったくない」
 P院長の言う通り、今春以降も公的な場でも肩書きが変わっている事実はない。医療法人の設立には都道府県知事の認可が必要なことから、当該自治体にも確認したが、院長変更の届けはない。増村常務の作り話であるということになる。
 増村常務にP院長の返答を伝え、再度事実を確認する。「私の言っていることが事実であり正しい」「お金の件でお辞めなったことは本当です」「確たる証拠もあるが、病院側の了解を得ていないので、私が勝手にこれ以上発言することはできない」おおむね、そのような回答に終始した。

みらい証券・上島代表も取材拒否
 それにしても、なぜ明らかに嘘と分かる情報をメディアに流し、再三にわたる事実確認の場でもしらを切り通そうとするのか。
 増村常務の経歴を同社のホームページでは次の様に紹介している。
 〈1986年3月、株式会社ヤナセ貿易入社。1990年3月にジャガージャパンLtdに移籍後、高級車販売等の営業の最前線で営業課長、支店長を歴任。その後、国内大手生命保険会社に移籍、株式会社メディカルブレインを経て株式会社エーエムメディカルを設立し代表取締役に就任。2006年4月に同社がみらい証券株式会社の100%子会社となり(みらいエフピー株式会社メディカル事業部へ再編)、この期間に介護老人保健施設設立、総合病院のM&A、看護学校の設立を計23件成立させる。みらい証券株式会社取締役、執行役員、みらいエフピー株式会社常務取締役を歴任し、2010年1月、みらいアセットマネジメント株式会社常務取締役メディカル事業部に就任。現時に致る〉(原文ママ、一部数字標記のみ改変)

 7月13日付で弊誌はみらいアセットマネジメント代表取締役・矢野英明と、設立時の親会社であるみらい証券代表取締役の上島健史の両名にあて、取材の申込を行った。
 翌日13日、矢野から編集部宛に電話があった。取材を受けることを前提に2つの要望がなされた。

 ①みらい証券への取材申込は取り下げること。
 ②質問の文面を組織ぐるみの関与と受け取られないよう変更すること。

 矢野は当初、「みらい証券とのビジネス上の関係を大事にしたい。マスコミさんの大事さもよく分かっていますから、なるべく穏便にいきましょう」と発言している。
 弊誌は①を保留し、②は了承。翌日、再度取材申し込みを両名あてに送った。ここで矢野氏の態度が一変する。了解を得ずに上島氏に連絡を取ったことで、「みらい証券との関係が壊れた」のだという。当然、矢野氏との取材日は設定できなかった。
 7月16日、弁護士事務所から弊社あてに配達証明が届く。内容は取材拒否の通知だった。
 代理人に電話し、配達証明の意図をただしたが、「書いてある通りだ」と言うのみ。また連絡する旨を告げると、「もうしてくるな」と捨てせりふを残して電話は切れた。
 報道における両論併記の原則を守るため、石上事務所には再度取材申し込みを文書で行ったが、締め切りまでに返答はなかった。みらい証券は徹頭徹尾黙殺を貫いている。

 増村常務がどの程度医療に通じているのかは定かではない。だが、悪意ある「ガセネタ」をメディアに伝えた本件では、一歩間違えば、有為の良医一人の職業生命が奪われかねなかった。深刻な事案だ。医療界を行き交うのは善意の第三者ばかりではない。とんだ自称プロフェッショナルも時に紛れ込んでくることを肝に銘じておきたい。
 P院長は増村常務やみらいAMを刑事告訴することも視野に入れている。今後の推移を見守っていきたい。(敬称略)

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